お知らせ

台風19号 常勝院被害について

この度の令和元年台風19号に際し、被災されたすべての方々に
お見舞い申し上げます。

2019年10月12日未明から13日にかけて日本列島に最接近した台風19号。
猛烈な風と雨によって平窪地区は、一晩にして「壊滅」となりました。

上・中・下平窪のお檀家さまの9割以上ものお宅で床上浸水の被害です。

誰もが口をそろえて言います。
「まさか平窪が、我が家が、水没するなんて」と…
一か月半過ぎようとしている今でも信じられないのです。

いわき市の被害状況は、災害後数日間ほとんど報道されませんでした。
ですので、県外や市外そして市内の他地域のお檀家さまも
これほど深刻な状況であることを知ったのは、
一週間以上も過ぎてからのことだったのではないでしょうか。

被災者の方々の生活は、まさに「激変」です。
平屋建てのご家庭の中には、まだ避難所生活を送っている方もいます。
一階部分が水没してしまい、二階で暮らしている方は台所が使えないので
カセットコンロで食事を用意することもあるけれど、
ほとんどはコンビニや外食などで済ませているそうです。
健康面でもかなり心配です。
長期にわたりご親戚にお世話になっている方は、
申し訳ない、申し訳ないと心を痛めています。

常勝院は、おかげさまで本堂は浸水を免れましたが、
庫裡は床下浸水となりました。
お寺の前の市道からは、2メートル以上もの高さがある境内が
水没したのですからそれだけでも今回の台風の脅威が
おわかりになるかと思います。

しかし、私自身その脅威を感じることはほとんど無く、
12日23時20分に警戒レベルが「5」に上がっても
「大丈夫!ぜったいに大丈夫」と間違った確信のもと、
避難することもなく自宅待機をしていたのです。
災害において「絶対」などあり得ないことなのに!です。

23時40分過ぎには、西側に広がる墓地の通路を
水が流れ始まったのが確認できました。
その後、日をまたいだ13日0時20分には山門の階段の上まで、
水が上がってきました。
夜でしたから、暗くて辺りの状況を把握することが出来ませんでしたが、
その頃はもうほとんど雨も上がっていたので、
これ以上水かさが増すことはないだろうと油断したのも事実です。

でも、そこから境内が水に飲み込まれるまでは、あっという間!
恐怖を感じ、私たち家族が本堂脇の水屋の屋根に避難したのは
午前1時過ぎなのですから。
そして、わずかでしたが水位が下がったのを確認し、
本堂廊下に降りたのが午前3時でした。

その二時間、目にする光景はまさに地獄絵でした。
こんなところに水が流れているはずがない。。。
でもこれは夢じゃない、現実なんだ。。。
最初は皆で何だかんだ言葉を交わしていたのですが、次第に口数も少なくなっていきました。。

そのとき、境内を流れるゴーっという水の音と一緒に聞こえてきたのは、
虫の声でした。
それも信じられないくらいの大きい鳴き声なのです。
きっと虫たちも必死に木の上に登ったのでしょう。
そして、それと同時に目に飛び込んできたのは、水面に映る美しい月の光でした。
地獄の光景の中にひろがるあたたかい月の光です。
この様子を見たときが、これでやっと浸水も落ち着くであろうと
思った瞬間だったような気がします。

「水害は、私たちの生活を一瞬でなにもかも奪っていった」
と皆さん口々におっしゃいます。 しかし、その言葉のあとに
「でも、前を向いて生きていかなきゃね。がんばっぺ!」と続きます。
時間をかけ地道にこつこつ積み上げてきた人生を取り戻していくには、
気力も時間もかかるのに違いないと思いますが、
皆で手を取り合って乗り越えていきましょう‼

『だいすき 平窪!』  『がんばっぺ 平窪!』      合 掌


10/13 午前0時20分頃
山門付近


10/13午前1時過ぎ
本堂前
ここからさらに50㎝ほど増水しました


午前3時 月の光


普段の景色


13日午前6時頃の境内


1メートルほど水かさが減った状況です(午前中)